食事・睡眠・運動などの習慣に気を付けて、美容・健康意識を高く持っている人は多いと思います。
国としても国民の健康意識の高まりから、健康増進法の改正を重ねているところであり、最近だと公共施設等の全面禁煙化・飲食店の分煙化が実施されているところです。
しかし、まだまだ世の中には条例で禁止されている場所で「歩きタバコ」をしたりしている人が散見されますので、今回はタバコが私たちの生活、特に美容・健康面に与える影響についてまとめてみたいと思います。
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タバコの被害を受ける環境
「タバコの被害を受ける環境って自分自身がタバコを吸っているか、タバコの副流煙が当たる場所にいる人じゃないの?」
そう思いがちですが、被害はもっと広い範囲に及びますので一緒に勉強していきましょう。
タバコの煙は空気中に舞っている
喫煙者が吐き出した煙、タバコ自体が燃えた煙には化学物質が含まれています。
これらは空気中で「白い煙」として目に見えますので、その煙さえ避けておけばタバコの被害を受けることはないと思ってしまいがちです。
では、白い煙が消えれば安全なのでしょうか?
当然そんなわけなくて、空気中に粒子として広がって見えなくなっただけです。
同じ分子構造を持つものが集まって「煙」として見えていたものが、空気中に分散して見えなくなるだけです。
これが意味するのは、室内に喫煙者がいる場合、煙が目に見えなくても低濃度の化学物質を吸引しているという意味では「受動喫煙」をしてしまっていることに変わりないということです。
※排気ガス等に含まれるPM2.5なども目に見えませんが、空気中に実際にありますよね、それと同じイメージです。
タバコを日常的に吸っている部屋
じゃあ換気をしてその後に誰もタバコを吸っていなければ、部屋の中には化学物質が残存していないかと言うと、そうでもありません。
残念ながら、タバコが日常的に吸われている部屋では、天井や壁、カーペットにも化学物質は付着しているので、人が歩いたり触ったりするだけでも低濃度ではあるものの、化学物質が空気中に舞い戻ってきます。
また化学物質がハウダストなどの物質と結びついて、アレルギー症状につながる恐れもないとは言い切れません。
喫煙者の身体の表面、服、持ち物
それなら、タバコの煙が全くない禁煙施設にいれば完全に被害はないのかと言うと、そうとも言い切れません。
世の中には喫煙者がまだまだいますので、身体の表面、例えば顔や髪、服に化学物質を付けて、禁煙施設の中に入ってくることもあるからです。
空気がきれいなカフェなどでタバコのにおいを感じたりすると、不快に感じる人もいるでしょう。
余談ですが、口の中にも化学物質は残っているので、喫煙者の恋人とキスするなら入念に歯磨きをした後の方がいいかもしれないですね。
また、喫煙者の車にはタバコの煙による多数の化学物質が残留していますので、常に低濃度の化学物質のシャワーを浴びている状態となります…。
このことは、まだ比較的新しい研究のため、学術論文で「サード・スモーク」という呼ばれ方をしていているくらいですが、世間の健康ブームに乗って、今後さらに認知度が高まっていく考え方でしょう。
「副流煙」の有害物質は「主流煙」より多い
タバコの煙に含まれる化学物質は、有名どころだとタールやニコチンがあります。
タールは発がん性物質で天井や白い壁に付着して色が変わる「ヤニ」の原因になります。
ニコチンは発がん性は指摘されていないものの、人間の神経系に作用する「毒性」を持っている物質です。
タバコの煙と言っても喫煙者が吐く煙(主流煙)とタバコが燃焼して出る煙(副流煙)に分かれますが、それらには有害な化学物質量の違いがあるので比較してみましょう。
以下の例は、データが少し古いですが、厚生労働省の計測結果を用いています。
例えば、タバコを吸わない筆者でも知っている銘柄のマイルドセブンであれば「主流煙」にはニコチンが0.958mg、タールが11.8mg含まれていました。
同じマイルドセブンの「副流煙」にはニコチンが5.03mg、タールが24.4mg含まれていました。
つまり、副流煙の方がニコチンは5.25倍、タールは2.06倍も多く含まれていました。
引用:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/seibun.html
なお、ニコチンとタールはタバコに含まれる有害な化学物質の一例にすぎません。
副流煙は主流煙よりも燃焼温度が低いため、より多くの有害物質が残っているというわけです。
このことから、自分がタバコを吸っていなかったとしても、普段から近くでタバコを吸う人がいる、あるいは喫煙者がいる空間にいる人は、有害物質を体に取り込み続けているというわけです。
理不尽な話ですが、有害物質の量だけ見れば、タバコを吸っている本人よりも副流煙を吸っている人の方が多くの化学物質を体に取り込んでしまっているのかもしれません…。
タバコの有害物質による「老化」
「有害物質を多く吸い込んだからといって、極端に老けるわけじゃないんでしょ?」
老けないことを信じたいですよね。
確かに、1か月2か月では急速な老けは感じられません。
でも、周りにいませんか?“年齢の割に老けて見える人”
人間の身体は、日々細胞が生まれ変わっていて、肌に関して言えば「ターンオーバー」を繰り返しています。
若いときはその周期が早いので高校生・大学生くらいでは極端に老けた人はあまり見かけません。
しかし、20代、30代、40代と年齢を重ねるにつれて「老けて見える」格差は広がっていきます。
なぜなら、加齢とともに肌のターンオーバーの周期が遅くなったり、正常に機能しなくなっていくからです。
そして、この肌のターンオーバーに影響する要因の一つとして「活性酸素」が増えすぎることがあります。
タバコの煙に含まれる有害物質は細胞の酸化、炎症、癌化、さらに活性酸素の産生に影響していると言われており、非喫煙者でも受動喫煙によってこれらのリスクを背負うことになります。
増えすぎた活性酸素は体内の抗酸化ビタミン(ビタミンACE〈エース〉)やフィトケミカルといった物質によって取り除かれますが、本来の美容や健康に使われるはずであった物質が不足することになるため、肌のトラブルなどにつながります。
例えば、体内のビタミンAレチノールは美白に直結する成分ですが、これが増えすぎた活性酸素の除去のために使われれば、美白効果・シミソバカスの改善が見込まれず「老け」に繋がっていくわけです。
タバコの有害物質による「女性ホルモンの乱れ」
男性はあまり興味のない話かもしれませんが、恋人がタバコを吸っていたり、タバコの受動喫煙をしやすい環境にいる場合には関係してくるので「タバコと女性ホルモンの関係」についても知っておきましょう。
ご存知のとおり、女性ホルモンは女性のバストやヒップ、肌質に影響したりする成分です。
女性ホルモンの割合が多いと、より女性らしくなり肌ツヤが際立ち、若々しさとモテに繋がります。
逆に、女性ホルモンが適正量より少なくなると、男性モルモンの影響が強くなり(女性にも男性ホルモンがあります)、生理に影響したり、体毛が濃くなったり、体臭が出たり、筋肉質になったり、ニキビができたり(皮脂)、情緒不安定になったり、シワが増えたり…女性にとっては好ましく状態になります。
タバコの煙には女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の分泌を減少させることが報告されており、先ほどお伝えした男性ホルモンの作用を増大させてしまうリスクがあります。
どんなに高級なスキンケアをしようと女性らしさを決定するエストロゲンが失われれば、美しさは戻ってきません。
タバコの煙に含まれる有害物質を吸い込まない環境にいることが、女性にとって如何に大事なのか言うまでもありませんが、意外と軽く考えている人もいるようです。
あとがき
先日、出張に行った際、ホテルの部屋が空いていなくて、やむを得ず喫煙部屋に宿泊することになったのですが、清掃したての部屋のはずがめちゃめちゃ臭かったです(笑)
部屋にさえこれだけ染みついているなら、タバコの煙を普段から吸い混んでいる人の肺はどれだけ汚れているのか心配になったくらいでした…。
ここまで、タバコを完全否定している筆者ですが、たまにならタバコの煙を気にしないときもあります。
居酒屋とか、バーとか、カラオケとか、どうしてもタバコの煙ありきの施設もあるからです(笑)
タバコの煙が苦手だからという理由だけで自分の楽しみに制限をかけてしまうのも何か違うと思うので。
でも、タバコ吸う女性だけは「やめた方がいいよ」と言って上げたくなります…。
「美しさ諦めました」と言ってるようなものだから。
タバコの煙を吸い続けた結果、容姿がどのように変化するのかはWebで画像を見ることができます。
恐ろしいですよ…よかったらググってみてください。
それと、加熱式タバコ、電子タバコ、リキッドタバコ等については、紙タバコと違って安全だという誤った見識が広まりつつありますが、最近の研究では次々とそれらの有害性が指摘されています。
現時点では、タバコの煙は何にせよリスクがあるものとして、避けて生活しておいた方がいいと言えるでしょう。

