恋愛

20代ナースに聞いた若者の恋愛事情

看護師 若者 恋愛 エッセイ

20代のナースって魅力的ですよね。

でも話を聞いてみると、ナースって職場特有のカーストがあったりして、若い人は特に苦労していることが多いようです。

とは言っても、仕事とプライベートは別物。

やはり恋多き20代、忙しいナースでもやっぱり恋はしたいんです。

 

今回は、20代女性看護師のNさんに聞いた「20代ナースの2ヶ月で走り抜けた恋」をもとに、ストーリーで足りない部分を筆者の想像で補いつつ、20代の若者たちの恋愛模様を描写してみました。

20代ナースに釣られたエ◯オヤジ、そして健全な読者さん、ショートエッセイとして、どうぞお楽しみください。

 

 

 

恋占いが故、お付き合いする

著:フラペ / ストーリー提供:Nさん

 

3月 さくら舞う

 

3月、七瀬(仮名:20代前半の看護師)は、九州北部にある、恋占いがよく当たるという神社を訪れていた。

この手の占いは、当てはまりそうな事実を並べていって、相手が反応したことを読み取る「コールドリーディング」などの心理テクニックを駆使している。

最後は、「当たる可能性もある」汎用性が高いことをもって予言に変える、というのが定石だ。

 

しかし、七瀬はこのような事実を知らない。

どこかふわふわしていて、物事を思い込みやすい節がある。

 

神社の占い師が言うには、こうだ。

「近々、レベル高い人が目の前に現れる」

山奥のさくらの木々に囲まれたその地で、七瀬は占い師の言葉の奥に感じるものがあった。

 

 

本当にそれからすぐに恋のチャンスが降ってきた。

 

3月末、七瀬は近々別の病院に転勤することになっていたため、勤務先の送迎会に参加していた。

長崎市から少し外れた郊外の病院だったが、スタッフに恵まれ、実りある3年を過ごした。

 

そこで、偶然、彼(仮名:20代、七瀬より年下の男性看護師)を目にした。

病院の勤務はシフト制だから、飲み会のたびに全スタッフと顔を合わせるわけではない。

以前から彼は七瀬にとって気になる存在だったが、今日も声をかけることはできなかった。

病棟は違うし、話しかけるきっかけがないのだから。

七瀬は周りに比べて恋愛経験も少ないし、自分から積極的に動けるタイプではない

 

彼と顔を合わせるのもこれが最後かもしれないと思いつつも、あっという間に送迎会は終了した。

 

 

残り数日の勤務となったある日、七瀬はナースステーションで同僚に話しかける。

「実は彼のことが気になっていたんだよね」

同僚からは思いもよらない言葉が返ってきた。

「彼も七瀬のことが気になってるって言ってたよ」

 

 

逡巡しながらだったが、残り数日のチャンスを逃したくない思いで、友達に仲介してもらい彼の連絡先を手に入れることができた。

 

初めてのLINEメッセージは、挨拶程度の内容だったが、何度も文面を読み直し、慎重に送信ボタンを押した。

それからしばらくやりとりをして、彼からの誘いのメッセージを受信した。

「今度、ご飯行きませんか?」

思いがけない提案に胸を踊らせつつ、彼と会うことになった。

 

 

年下の彼は、以前から見て取れていたように誠実な男性だった。

端整な顔立ちをしていて清潔感もある。

話してみると彼は七瀬のことを意識して緊張しているようで、どこかぎこちなく、かわいかった。

お互いが本当に気になる存在だっただけに、二人はすぐに打ち解けた。

それに、看護師という職業への理解がある相手は、一緒にいて心地よかった。

 

 

それからも数回デートを重ねた。

長崎の定番デートコース、稲佐山、鍋冠山などは、夜にドライブで訪れるカップルも多い。

カップルが多い場所に行くのはドキドキしていた。

目的地へ向かう途中、夜の道を運転する彼の横顔をこっそりとうかがう。

凛とした表情が街灯に照らされる瞬間が七瀬は好きだった。

この横顔が眺められる特権は自分にしかないと思うと笑みが溢れた。

 

言葉にはしていないが、きっともう二人は付き合っていた。

 

 

5月 春はやってきた

 

世間が令和となった記念すべき日、二人は言葉を交わして付き合うことになった。

七瀬の転勤で、彼との距離が離れることになったが、会えない距離ではないし、連絡もマメにしてその距離を埋めた。

 

彼は「連絡があまりマメではないタイプ」と自分で言っていたが七瀬に対してであれば、そんなことはない。

彼のスマートフォンにはいくつも通知が溜まったままになっていたいたが、七瀬にだったら、即レスをする。

そんな行動も、どんどん七瀬を好きにさせていった。

 

 

5月と言えば、大型連休もある。

この期間中も彼と休みを合わせては、長崎バイオパーク、熊本グリーンランド、長崎伊王島アイランドルミナなど、絵に描いたような幸せなデートを繰り返す。

二人がお互いを許し合うのにも、それほど時間は必要なかった。

 

 

 

行楽も一息つき、七瀬には5月中に行っておきたいところがもう一つあった。

九州北部、例の神社だ。

彼とのご縁があったのも恋占いのおかげだから、お礼参りをしようと七瀬は思い立ったのだ。

 

神社へ向かう車の中、彼と付き合う前にもこの神社を訪れたことを話す。

「レベルが高い人が現れることを告げられた、だからお礼に参りに行くの」

七瀬がそう言うと、彼は謙遜しながらも笑って返した。

 

 

神社では、例の占い師に彼と付き合っていることを報告し、あたり障りのない会話をした。

お礼参りが目的だったため、占い師に感謝の気持ちを伝えて、神社にお参りをして帰途についた。

 

 

6月 凪の時間

 

付き合うまでも付き合ってからも、忙しなく濃密な時間だった4月と5月。

だからこそ、6月は二人の関係は一旦落ち着いていた。

 

ふと、七瀬が違和感を感じていたのは、会う頻度だった。

確かに、転勤してからはお互いの家まで30分以上かかるため、そう頻繁に会えるわけではない。

5月は二人の連休がたまたま重なり多く会えただけかもしれない。

ただ、時間がない中でも、仕事終わりに時間を作っていた。

彼はそれをしなくなった。

 

LINEが鳴る頻度にも、引っかかるものがあった。

「きっと、5月が充実しすぎていたから、今はその落差を感じているんだ」

そう思いたかった。

 

しかし、

「マメだったLINEの返信はどこへいったの?」

「私への気持ちがなくなったの?」

七瀬の脳裏をよぎるのは、ネガティブな感情だ。

 

 

さらに、七瀬は彼のLINEのホーム画像を見て、驚きを隠せない。

七瀬と彼のツーショット画像は、別の画像へ差し替えられていた。

 

彼からの返信を待つ時間は、ゆっくりとした時間が過ぎていった。

一方、彼の世界でも時間は進んでいたのかもしれない。

 

 

それでも待った。

七瀬は、彼より社会人経験が長い分、大人だ。

「彼は忙しいのかもしれない」

「今は一人で考えたいのかもしれない」

そう願った。

 

 

7月 台風

 

LINEが返ってこない。

七瀬は返信がないままでも、メッセージを重ねていた。

「もう一度話したい」と。

 

 

彼の交友関係に別のパートナーの影は見えなかったし、彼の出会いと言えば病院内になる。

そうなれば、七瀬の前同僚からも連絡があるはず。

 

「きっと浮気をしているわけではない」

それは分かっている。

 

確かめたいのは、なぜ急に冷たくなったのか。

数週間前までは、

「ずっと一緒にいようね」

そう話していた彼が変わってしまった理由を聞きたかった。

でないと、七瀬自身、踏ん切りがつかない。

 

 

だが、その思いも実らず、最後まで彼と会って話すことはできなかった。

 

幸いにも、最後に1つのメッセージが返ってきた。

「余裕がなくなって七瀬への気持ちがなくなった」

それだけの理由だった。

 

二人は七夕に別れた。

 

2ヶ月とちょっとのスピード恋愛だった。

「急激に高まり、すぐに落ちる」

そんな彼の考えを七瀬は最後まで掴めなかった。

 

占い師の言う「レベルが高い人」は彼だったかもしれないし、彼ではなかったのかもしれない。

 

 

7月初旬、七瀬は再び、友達と例の神社を訪ねていた。

 

占い師曰く、

「大丈夫、もうすぐ出会えるから。あなたのタイプじゃないけど、素敵な人が目の前に現れる」

とお告げがあったそうだ。

 

 

 

その数日後、七瀬は筆者と一緒にバーを訪れた。

この2ヶ月の恋愛の話をしたかったらしい。

 

七瀬がバーカウンターでカクテルを飲んでいる時、新たな男性客が入ってきて、マスターが七瀬の隣の席を案内した。

男性は戸惑った様子だったが、しばらくマスターと言葉を交わしてその席へ座った。

普段、病院と自宅の往来だけの七瀬にとっては、久々に初見の男性に会ったことになる。

 

男性は、マスターと話をしながら、チラチラと隣の席に目をやる。

どうやら七瀬に好意があるようだ。

 

それを察したマスターは、男性と七瀬の会話を繋ぐ。

筆者はそれを邪魔しないよう、適当にスマートフォンを操作する。

 

男性は金融関係で勤めているらしい。

話を聞いているとユーモアがあるタイプだということも分かる。

七瀬にとってタイプではなくても、内面的な魅力を持っている可能性がある。

だが、七瀬はマスターや筆者に向かって話しかけてばかり、その男性には興味を示さない。

 

会話がひと段落したところで、筆者は七瀬に尋ねた。

「隣の男性はタイプか?」

七瀬はタイプではないと答える。

 

筆者の口角が上がる。

そしてもう一度尋ねる。

「占いを信じるのであれば、タイプじゃない男性との出会いがうまくいくんじゃないか?」

 

反論するように答えが返ってきた。

「その人は違う」

七瀬は即座に話題を変えた。

 

 

七瀬がお手洗いに立ったタイミングで、筆者は会計を済ませ、先に店を出た。

 

 

 

「彼」の気持ちが分かった気がしたからだ。

 

 

 

(完)

 

 

 

解説

冒頭であえて、エ◯オヤジと書くことで、七瀬が女性であるかのように思い込んだ人もいるかもしれません。

でも七瀬が女だっていうのは一言も書いていませんので、七瀬(男)と彼(男)という組み合わせの、実はゲイの話かもしれませんよ?

「七瀬」が男性か女性か分からないような中性的な名前にしてみたのは、そういった意味もあります。

エ◯オヤジへの迎撃です(笑)

 

 

まあ、普通に女性の話なんですけどね(笑)

 

さて、この3,000字程度のエッセイで描写したのは、20代女子と20代男子の熱しやすく冷めやすい恋愛…ではありません。

 

恋愛をしていると、同じ事実を見ていても解釈が異なることも多々あります。

筆者はなぜ最後に「彼」の気持ちが分かった気がしたのでしょうか?

 

七瀬の特徴

占いはお客さんに情報を伝えているようで、逆に相手を読み取っています。

また、占い師は「当たる可能性が高い汎用性の高い回答」をあらかじめ用意していて、客に一番見合う言葉をかけます。

「悩み・困りごとがある」「欲がある」といった精神状態の女子にとっては、貴重な「お言葉」になります。

七瀬のように社会的経験が浅い10代〜20代女子は、占いを信じ込みやすく思い込みやすい傾向は否めません。

 

占い師が、3月に「レベルの高い人」、7月には「タイプじゃないけど素敵な人」と全く違うことを言っている点に注目すると、たった4ヶ月で七瀬が出会うべき人物像が変わったことになります。

「短期間で運命の人は変わるのか?」

占いってそんなものです。

 

男性の見方にも注目してください。

3月の「レベルの高い人」では彼をすぐに認知したのに対して、7月の「タイプじゃないけど素敵な人」については、タイプではないとしてバーの男性のことを知ろうとしていません。

つまり、占いの結果を信じているものの、自分の理想像というバイアス(思い込み、先入観)を結局のところ、捨て切れていないことが分かります。

 

彼の特徴

同じ看護師であり、また七瀬を以前から目で追っていた「彼」は、七瀬との数回のデートのあと、すぐに付き合い、すぐに許します。

このあたりが20代男子特有の軽率さ、熱しやすさ(同時に冷めやすさ)のポイントと言えます。

恋をしている男性はチンパンジー並みの判断能力と言いますから、彼だけではなく全ての男性が熱しやすいのは世界共通ではありますが。

 

付き合って1ヶ月ちょっとが経過した頃、彼は冷めてしまいます。

しかし、「彼」の情報は5月のデート以降まったく出てきていません。

 

視点・錯覚

実はこのエッセイ、彼側の視点を全く描いていません。

七瀬の視点だけでストーリーが進みます。

 

「七瀬のバイアス」

 

それがこの話のカギです。

 

本来必要ないはずの「占い」の要素を加えたのにも理由があります。

「占い」は七瀬がバイアスにかかりやすい性格であることや物語がワンサイドの視点であることの象徴として使っています。

 

極め付けは、占いの情報を「彼」のときは受け入れ、「BARの男性」のときは少しも受け入れようとしていない。

つまり、占いの結果を信じているのではなく、自分に見合う男性に占いの情報を重ねようとしているだけ、ということです。

 

このことから言えるのは、彼と別れるまでの話の途中の“描かれていない事実”こそが、真実だったかもしれないということです。

 

恋愛は主観で見つめると錯覚を起こしやすい。

そんな文章の意図を汲み取って楽しんでいただけましたら幸いです。

 

 

このエッセイはフィクションです。

ABOUT ME
フラペ
フラペ
長崎の20代/縛られのサラリーマン/街コン合コンの果て何があるのか模索中/人との巡り会いや恋愛関係を中心に記事を書いています/プロフィール画像はフラペ君!知り合いが描いてくれたオリジナルキャラです/

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